上京(仮)/メリークリスマス/罰
彼氏が音楽を流す煙草のすこし煙たい部屋のベッドで横になって『中原昌也作業日誌』を読む。
涙が出たなあ、いま。
彼氏は気付いていない。
私たちの関係はこういうのがよく似合う。
こういうの、日常とか生活とかそういうの。
初日この部屋に来た時はこんな散らかった狭い部屋にどうやってふたりで住むというのだ!とすこし怒りすら感じていたのに慣れた。
今じゃあここでの生活が楽しくて仕方ない。
なんという気まぐれ。
結局わたしは二月に上京するということで決定したみたいだ。
今日はお昼に起きて映画を4本観た。
彼氏が帰って来てからふたりで1本観た。
『シルビアのいる街で』、『雨月物語』、『赤線地帯』、『ひなぎく』、『アンチポルノ』。
シルビアはめちゃくちゃ好きだったし、溝口健二は好きだし、ひなぎくはかわいいし、アンチポルノは気狂い映画で満足した一日だった。
昨日は飲みすぎた。
宴会開始15分ほどでべろんべろんになって、泣いたり笑ったり大変だった(らしい)。
ジョニーウォーカーと安ワインをふたりで飲む。
煙草の煙が昨日も綺麗だった。
Sadaharu AOKIのケーキをふたつ買って半分こしてウイスキーのおつまみにした。
メリークリスマス。
24日には渋谷のオイスターバーを予約してくれていて美味しくいただいた。
そのお店はドリンクを出すのが遅くて内心すこしむっとしていたけれど、牡蠣が美味しかったので許した。
ドリンク遅いなと思うわたしと思わない彼氏、なだめられた。
性格が悪いなと言われたが、そもそも性格が悪いとはなんぞや。
クリスマスプレゼントはお互いあげないようにしようと約束をしていたのだけど、彼氏にサンタ来る?と訊いたら来るというので、渋谷のタワレコへ向かう。
なんでも好きなもの選んでいいよと言うので、今朝部屋で彼氏がかけていた(それでとても気に入った)フェネスとジムオルークのレコードを買ってもらった。
嬉しすぎてレコードを抱きしめて渋谷を歩いて青の洞窟へ行った。
行く予定だったバーまで行くのが億劫になってきたので渋谷の人間関係というバーに行くことに。
内装が純喫茶のような感じなのになぜかアゲアゲの曲が流れていて異様だった。
アキカウリスマキの映画に出てきそうだねと彼氏が言う。
昨日のお昼には横浜の中華街に行き、期待通りの無愛想な接客をされて萎える。
外で煙草を吸って、ごま団子と江戸清の美味しい豚まんを食べる。
赤レンガ倉庫はまた今度行くことにして、サンマルクで一服して新宿伊勢丹に向かった。
欲しかったA.P.Cの財布をすこし早い誕生日プレゼントとして買ってもらい、スモーキークォーツの気に入った指輪があったのでそれも買う。
下に降りてケーキを買って、紀伊國屋書店に寄り帰った。
人生で最高のときを迎えているのがわかる。
昔の泣いていたわたしを抱きしめてあげたいしこのこと教えてあげたい。
こんなにいいとなんか罰でも当たるんじゃないかと不安になるけれど、たぶんそんなことはないのだと思う。
今をたのしむことを恐れない気持ちをもともと持ち合わせている人間がすこし羨ましい。
たぶんそんなひとのことをポジティブっていうのかな。
またすこし進めた気がした。
今日は親子丼を作って彼氏の帰りを待った。
人間にとても美味しいと言って食べてもらうのが久しぶりで照れた。
明日は肉じゃが作ると思う。